なんでもくん導入の際は必ず技術研修・レクチャーをお受けください。詳しくはこちらから。

なんでもインタビュー|株式会社 ビクセン

埼玉県所沢市に拠点を置く株式会社ビクセンは、天体望遠鏡や双眼鏡などの光学機器をはじめ、星空を愛でるための製品群を提供しています。実は、こちらでも安心堂のオリジナル印刷機「なんでもくん」を使用し、さまざまな製品に名入れを行っています。今回は代表の新妻さんをはじめ、ビクセン社員の皆さんにお話を伺いました。

パッド印刷をご存知でしょうか?
パッド印刷とは、ボールペンやUSBなど小さい商品にも文字や細かな絵柄を表現でき、シルク印刷同様よく使われる印刷方式です。シリコンパッドの弾力を活かし、平面ばかりでなく、なだらかな曲面、凹凸面にも印刷できるのが特徴です。
さまざまな印刷業会で使われるパッド印刷ですが、安心堂の「手動式小型パッド印刷機 なんでもくんANG-4」は創業者が開発したアイディアが満載のオリジナルパッド印刷機!
誰でも簡単に製版から印刷まで、ご自身の手で行うことができます。
ここではなんでもくんを導入してくださっているさまざまな方にお話を伺っていきます。

左から、山崎さん、高橋さん、代表の新妻さん、正木さん。

Q.なんでもくんを知ったきっかけはなんですか?

新妻:弊社のエントランスを改装していた方が共通の知人で、その方を通して安心堂さんを紹介してもらいました。突然でしたよね、休みの日だったので僕もラフな格好で壁紙を剥がしている最中で(笑)。その時に「安心堂ではこういうことができます!」というお話をいろいろ聞かせてもらいました。その後、偶然ですが、僕自身は展示会でお父さま(安心堂会長)に「なんでもくん」の実演を見せてもらったことがあります。そのとき「なんでもくんというものがあるんですよ」とパンフレットを貰ったときに「あ!」と思い、後日社員2名ほど安心堂に見学に行ってもらいました。

 

Q.実際に購入しようと思ったきっかけはなんですか?

新妻:展示会でなんでもくんの製品を見せてもらい、お父さま(安心堂先代)が実演してくれたことがきっかけです。実演を見たときに双眼鏡をサンプルでお渡しして「こういうのにも印刷できるんですか?」と印刷のテストをしてもらったんですよ。すぐに「できます」という話になりました。

それまでは外注で名入れを行なっていたのですが、やはり外注は時間がかかるので…「できる」「できない」がすぐに言える状態、つまり“自分たちで名入れをしたい”と考えていたんです。
外注って結構手間なんですよね。箱から出してもらったりモノの移動も必要で、見積もりも都度必要。自社で行えばすぐに対応できると考えました。商品の開梱梱包作業も多いので、なんでもくんを導入して印刷ができれば、業務の流れとしてスムーズだろうなと。見学に行った高橋からも「なんとかなりそうです」と報告をもらいました(笑)。

 

Q.安心堂での見学は如何でしたか?

高橋そうですね、最初はいろいろ驚きました。それまでの業務は全く別の作業をしていたので。ある日突然上司から「白羽の矢が立ちました」と告げられ「安心堂さんでの印刷の研修に行くから一緒にトライしてみよう」ということなりまして。「印刷の経験もないけどできるかな」と不安な気持ちもありましたが、すごく丁寧に教えていただいたので、これならやっていけそうだと感じました。

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なぜ高橋さんだったんですか?

正木:高橋は学生の頃美術系だったんですよね。
新妻:適正があると思ったんです。そしてトライするにも、買わないと始まらないですよね。

 

Q.なんでもくんを使い始めて一番難しかったこと、苦労したことはありますか?

高橋ゼロからのスタートだったため、作業場もなく、倉庫の端になんでもくんを設置し、普段の業務を行いながら不良品として戻ってきた双眼鏡や他の製品を使って、とにかくいろいろなものを印刷してみました。
「社内営業も必要だよ」と言われ、まずは印刷サンプルをたくさん作ることから始めましたが、最初は全然うまくいかなかったです…。特に場所を決めるの(印刷位置の合わせ方)が難しかったです。自分で表を作り、何センチのところに置いたらこうなる、ああなる、というデータを自分でとってみたりもしました。今ではなんとなく「ここに置いたらここに印刷できる」というアタリがつくようになりましたが、それまでは研究でした。角度とか高さとか。その点が非常に難しかったです。

高橋他にも”滲み”や”ひげになる”といった悩みもあったので、パット印刷に関するトラブルシューティングを調べ、参考にしながら解決していきました。

印刷する製品も、毎回決まったものがくるわけではないので、メタルホルダー(ポケットサイズの高倍率ルーペ)や、大きなものだと天体望遠鏡の鏡筒まで。その都度、参考になるデータをたくさん集めました。その結果、小さいものから大きいものまで、「ああ、大体この辺で、この角度でいける」というふうに“コツ”を掴んでいきました。治具*は粘土で作ったり、木を置いたりという感じです。

*治具=対象物に印刷する際、基本的に必要となる補助器具の事。

 

Q.アタリをつけるまでの期間はどれくらいかかりましたか?

高橋毎日名入れ印刷専門の担当としてやっているわけではないので、他の仕事も行いながら練習を重ね、アタリをつけられるようになるまでには1年くらい経ってしまいました。そこからはもう実践という感じで経験を積んでいきました。手が空いた時に許可をもらってちょっと練習する時間は設けたりは常々していました。

 

Q.ご自身でやっていて、“向いている”とか“楽しい”という感覚はありましたか?

高橋はい、ありました。高校で美術を専攻していたので、色を特別に作る依頼があった時も、インキを混ぜて以前作った品物と同じような色を出すことができ、喜んでいただいた時はとても手応えを感じました。研究することはすごく楽しかったです。あと、社長も見にきてくださるので「こんなのできました!」とか、「こんなのに入れましたよー!」と報告すると社長がわーすごい!って反応してくれるので、とてもやりがいがありました。

新妻:適任です!

 

Q.コスト面で内製化したことで変化はありましたか?

新妻:コストは確実に削減されました。特に少量の場合は外注よりも経済的です。ただし、今でもカラーの場合は外注することもあります。2色ぐらいまでは高橋がやってくれるのですが、3色合わせた時は難しいという話だったので…

高橋3色上に重ねる場合、今の私のスキルでは無理ですが、横であれば3色までいけます。

 

Q.なんでもくんはいろいろとカスタマイズすることが可能ですが、ご自身で使いやすいように何かされたりしましたか?

高橋:はい、たくさんカスタムをさせていただいています。
ポールの付け替えが簡単にできるように台座を高くして、下から手を入れられるようにしたり、合わないなと思ったらすぐに変えられるようにしています。また、ポールの穴の数が限られているため、大きいものだと入らないことがあります。最近ではマグネットによるオンオフの仕組みも導入しました。社内の開発事業部にお願いして作っていただいき、自由にストッパーが効くようにしました。
かなりしっかりと固定されるので、可動域が広がりました。また、台座の位置を微妙に1.2ミリずらしたい時などにも、社長が持ってきてくれた「メカニカルステージ」というものを活用しています。

新妻:顕微鏡のプレパラートをX軸Y軸に動かすパーツがあるんですよ。顕微鏡用なのでバーニアがついていてミリ単位で動かせる。それを応用しています。

高橋社内の検査室の方々が手先が器用で、プロフェッショナルな知識を持っているため、台座に取り付けるものを製作してくれました。これにより、微妙な位置の調整が可能になりました。

 

Q.なんでもくんを活用して、特に変わった珍しいものに印刷されたことはありますか?

高橋:「アロマジェルライトに印刷してほしい」というご依頼があったときですね。アロマジェルライトは、ガラスの中にジェルが入っているので、しっかり印刷しようとパットを押し当てるときに割れないか心配もありましたが無事に印刷できました。またガラスにインクが乗らなかったりしたので、相談してガラス専用のを仕入れたりとか、その辺はちょっと珍しいご依頼でした。
普段は双眼鏡やプラスチック製品が多かったので、ガラスというのは珍しい案件でした。

 

Q.どのくらいの頻度で印刷作業を行っていますか?

高橋双眼鏡の場合、100200個程度です。一方、パッケージや紙製品の場合、約500枚程度です。

 

Q.他の方になんでもくんをオススメしたいポイントやアイディアはありますか?

高橋オリジナル製品を作成できる点が素晴らしいです。版を使いこなせば、ひとつのパットでかなりの文字数を入れることができるので、特別な日の記念メッセージを入れ、プレゼントとして活用するのも良いかもしれません。

 

Q.今後挑戦してみたいと考えていることはありますか?

高橋グラデーション印刷に挑戦してみたいです。まだ実現には至っていませんが、いつか取り組んでみたいと思っています。

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なんでもくんは単色でのグラデーションは印刷可能です!ただし、綺麗なグラデーションを出すには、適切なフィルムが必要です。安心堂でもそのような依頼があった場合、専門のフィルムを作成する会社に依頼します。また、フォトショップを使いこなせれば、グラデーションや写真のドットをパス化して綺麗な製版を作成ですることができます。

 

Q.なんでもくんで「こういうのがあればいいのに!」ということはありますか?

高橋刷り台の台座が動くようになれば便利だと思います。刷り台が動かない場合、幅が合わないことがあるため、刷り代が可動式であれば良いなというのはあります。がっちり溶接されてるのでこれは流石にカスタムできないなと思っていた部分です。

 

Q.小ロットの案件は年間でどのくらい入ってくるものなんですか?また、1案件にかける作業日数はどのくらいでしょうか?

新妻:件数としてはそれなりにあります。逆にできるようになったからこそ受注も増えるので、「このぐらいのロットから承れます」みたいな形もできるようになります。逆に最近は上限をきめました。

山崎:双眼鏡でだいたい300台を上限にしています。

新妻:1顧客の台数が多くなってしまうと他のご依頼を受けられなくなるので、ある程度適正な数で受注して数が多くなった時は外注で一気に印刷した方が良いと判断しました。

高橋印刷自体は300台であれば2日間で行えます。あとは乾燥とか双眼鏡をバラしてから印刷する場合もあるので、バラシ作業を含むとだいたい6日かかります。

山崎:過去に一度、大量に受注した時に当初は外注でお願いしようとしたのですが、外注先のスケジュールも立て込んでしまっていてうちの担当営業が交わしたお約束にどうしても間に合わない。じゃあどうしようか?って考えた時に、「うちでやるしかないだろう」と大量に印刷したことがあります。

高橋1,000台やりましたね。

山崎:そうそう、1,000台やりました。高橋の印刷スキルが磨かれているので、1,000台くらいは社内で印刷できると思ってほかの担当営業もそれで商談を進めていたりして。でも、それが続くと納期が遅れてしまう可能性も出てくるので、融通も効かせつつ満遍なく受注することを考えると300台くらいの方が現状いいのかなと。社内ではそのようなルールで決めています。

高橋一応、1日の標準印刷の場合と特殊印刷は2版までといったアナウンスもしています。

山崎:仕事を受ける営業も社内印刷についてわからないこともあるので、制作側が「何がこちらで必要なのか?」「お客さまとお話をする際に必要なものはこうですよ」と私たちが発信しないといけないので、そのあたりを営業にもわかってもらえるよう伝えています。

 

Q.印刷は高橋さんおひとりで行っているんですか?

高橋はい。内装スキルもあるので自分でバラシをして、印刷をして、内装をしてという作業や、乾燥の並べる作業も1人で行っています。1,000台の時は「ここのメーカーはこの色ですよ」と、色の指定もあったので調色も必要でした。だから毎日調色をして色を合わせていく作業もプラスされ、1,000台は結構大変でしたね。

山崎:当初ルールを決めるにあたっても現場担当の高橋に、何台ぐらいがいいかな?と話をしたら「500台はできます」って言っていたんです。けれど、まぁちょっと私が保守的なので、一旦300台にしようということにしました。加えて、1色1版をルール化してやろうということにもしました。2色印刷もできるけれど、そこは都度話していこうねって。ポテンシャルは秘めていますね(笑)。

新妻:あとベタ*”だったよね?

*ベタ=インクの濃度が100%で刷られること。「ベタ印刷」や「ベタ刷り」とも言います。

 

高橋そうです、ベタです。幅が広かったので、1度押しだとムラになってしまい、刷り代でインキを2回つけてから押すとムラにならないという事も研究しました。

以前キャクターが描かれたデザインの印刷を行った際に、ベタ部分が1度押しだとムラになってしまう事がありました。その時に刷り代でインキを2度付けしてから押すとムラにならない。(インキを)掻いて押して、さらにもう1回掻いての2回です。色に深みが出るのでムラにならなくなる、という感じです。

新妻:高橋はベタが得意なんですよ。

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通常「2度刷り」という方法は印刷業界の中でもあります。しかしそれは「2回版を押す」ことなので「インキを2度付け」は高橋さん独自の手法です!

 

Q.では最後の質問です。なんでもくんを導入してよかったでしょうか?

高橋はい!

新妻:思っていますよ(笑)。

 

よかったです!ありがとうございます。本当に色々とご活用いただいているみたいで嬉しいです。

株式会社ビクセンの皆さま、ありがとうございました!

株式会社 ビクセン
株式会社ビクセン( Vixen CO.,Ltd )は、埼玉県所沢市に本社を置く天体望遠鏡や双眼鏡、顕微鏡などの総合光学機器メーカーおよびそのブランド名( Vixen )である。「星空を楽しみたくなる」時代や文化を作り出すことを目指し、「星を見せる会社」になるというビジョンを掲げている。
本社:〒359-0021 埼玉県所沢市東所沢五丁目17番地3
WEB:https://www.vixen.co.jp/

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