なんでもくん導入の際は必ず技術研修・レクチャーをお受けください。詳しくはこちらから。

なんでもインタビュー|あおぞらソラシード

あおぞらソラシードは新潟市と阿賀野市に拠点を持つNPO法人「あおぞら」が、障がい者の方々と一緒に行う、地域社会に貢献する事業活動です。ここでも安心堂のオリジナル印刷機「なんでもくん」を使用し、さまざまな製品に名入れを行っています。今回は統括施設長の本多さんとサービス管理責任者の木津さんにお話を伺いました。

パッド印刷をご存知でしょうか?
パッド印刷とは、ボールペンやUSBなど小さい商品にも文字や細かな絵柄を表現でき、シルク印刷同様よく使われる印刷方式です。シリコンパッドの弾力を活かし、平面ばかりでなく、なだらかな曲面、凹凸面にも印刷できるのが特徴です。
さまざまな印刷業会で使われるパッド印刷ですが、安心堂の「手動式小型パッド印刷機 なんでもくんANG-4」は創業者が開発したアイディアが満載のオリジナルパッド印刷機!
誰でも簡単に製版から印刷まで、ご自身の手で行うことができます。
ここではなんでもくんを導入してくださっているさまざまな方にお話を伺っていきます。

左:本多佳美さん 右:木津尚起さん

Q.あおぞらソラシードさんの事業について教えてください。

本多:私たちは障害のある方の就労支援をメインとしている法人です。今年で21年目になりましたが、はじめは4名くらいの障害の方とのスタートでした。今は法人全体で90人ぐらいまで増え、職員スタッフは30人ほどの規模でやっています。

現在は拠点が5つあり、このソラシードは阿賀野市(あがのし)、その他も新潟市を拠点としています。ソラシードでは障害のある方と一緒に働きながら仕事を生み出し、売り上げ利益を利用者の皆さんに「工賃」という形でお返しすることを役割としています。できるだけ付加価値のある仕事に繋げていきたいので、化粧品の製造・化粧品に使う原料(ハーブなど)も自分たちで育てています。そして容器ボトルも「なんでもくん」を使い、自分たちの手で印刷を行なっています。

 

Q.なんでもくんを知ったきっかけはなんですか?

本多:私たちの化粧品を指導している理事がいるんですけど、その理事がたまたまウェブサイトか何かでなんでもくんを見かけ、一度見に行ってきたらどうか?とお話をいただいたんです。理事は大阪や奈良で化粧品製造している方で、ご縁もあり私たちの事業自体がスタートしました。

当法人の商品は企画の段階を含めると15年近く続けています。当時は岐阜の福祉施設で印刷をしてもらっていたのですが、その福祉施設での印刷もパッド印刷を使っていたそうです。そして商品のデザインを変えることをきっかけに、安心堂さんに訪問させていただきました。

 

Q.実際に購入しようと思ったきっかけはなんですか?

本多決め手はあのサイズですかね。聞いてたパッド印刷と全然違っていたので、これだったらできるんじゃないかな?と導入させてもらいました。

もともとお願いしていた岐阜の施設の現場でも一度見に行ったことがあるんですけど、すごい大きい機械で準備や後片付けに毎度前後1時間ほどかけていると聞いていました。版もその施設では外注に出しているとおっしゃっていたので、とても大変なものだと思っていたのですが、なんでもくんは全部コンパクトなのがとても魅力です。今私たちが商品に印刷しているデザインは地元(新潟)のデザイナーさんが手がけたものなのですが、なんでもくんを使い自分たちで印刷をするようになったことを伝えたら、今度はデザイナーさんから印刷のお仕事も頂くようになりました。

でも最初はなかなかうまくいかなくて…デザイナーさんのチームにシルクスクリーン*をやってる方もいらしたので、その方にも色々と教えていただいたり。調色方法や、インキを定着させるためには印刷後、焼いたらいいんじゃないか?というお話もその方からのアドバイスです。お猪口など陶器への印刷の際はオーブンレンジ使って焼いています。

*シルクスクリーン=孔版画の技法の一種。
インクが通過する穴とインクが通過しないところを作ることで版画の版を製版し、印刷する技法。

 

Q.加熱乾燥の際、オーブンレンジを使用して陶器が割れたりしませんか?

本多陶器だと結構大丈夫ですね。お猪口だと5分くらい、大きいマグカップだと15分。これもわからないながらもこんな感じかな?と思いながらやっています。お猪口自体はお店で使うので、今まではお湯で洗うと落ちてしまっていたんですが、オーブンで焼いてからは落ちなくなりました。

木津ちなみにインキはガラス用のものを使っています。

本多10年前くらいのオーブンレンジですが「きっとこの機能がコンベクションと似た機能なんじゃないかな?」と使ってみたらできたんです。それやる前は2、3回洗うとインキが落ちてしまうので、なんとかならないかと相談もきていたのですが、そういうのも一切なくなりました。

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家庭用のオーブンレンジでも「コンベクションオーブン*」であればガラスや陶器の熱風乾燥は可能です。

*コンベクションオーブン=ガスならではの強い熱を、
ファンで強制的に循環させて焼き上げるガス高速オーブン機能を持ったもの。

 

Q.なんでもくんを使い始めて一番難しかったこと、苦労したことはありますか?

木津印刷したときの「歪み」が難しかったです。一番初めに作ったのがこの卵型のボトルなのですが、なかなかうまく押せなくて苦労しました。ひたすら印刷してちょうど良いところ(印刷しやすい場所)を見つけて頑張りました。 笑。

本多:版のデザインも変えましたよね。

木津:あ、そうでした、変えたんだ。

本多:卵形のボトルだと両端が歪みやすかったのでデザインを真ん中に寄せてもらったり、細かい微調整を加えてもらいました。

木津:サイズもちょっと小さくしたり、大柄にしてもらったりとかデザインの改善も加えています。パッドは黄色い長方形のものを使って印刷しています。

パッド(カード、名刺サイズ)>http://www.anshindo-shop.com/?pid=97005068

 

Q.なんでもくんはいろいろとカスタマイズすることが可能ですが、ご自身で何かされたりしましたか?

本多うーん…ガムテープがいっぱい貼ってあるくらい?シンプルにそのまま使っています。

木津:卵形ボトルの治具*も以前、御社に持って行った時に作っていただいた治具をずっと使わせていただいてます。他のものは大体お猪口だったりコップだったりするので、そこまで固定しなくても粘土でしっかり固定できています。

*治具=対象物に印刷する際、基本的に必要となる補助器具の事。

 

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あおぞらソラシードさん、取材時ではカスタムしてないとおっしゃっていましたが、実際になんでもくんを見せてもらったらとてもカスタムされていました!これはレバーが必要以上に下がらないようストッパーを付けていますね。

 

Q.どのくらいの頻度で印刷作業を行っていますか?

木津:多いと1日200個位ですかね。利用者さんが、準備から片付けまで。位置調整は職員が手伝いますが、10時ぐらいからスタートして、15時ぐらいには片付け、16時で終われる感じで大体200ぐらいです。1人で印刷して乾燥で並べるところまでやっています。

 

Q.なんでもくんを活用して、特に変わった珍しいものに印刷されたことはありますか?

本多:以前、大阪の化粧品のボトルですごく大きな版を印刷したことがあります。それこそ難しかったです。

木津:白いプラスチック製品だと色が入ってしまうのか消えにくいみたいです。繰り返すとだんだん色が残ってしまって。陶器やアルミボトルはすぐ拭けば綺麗に落ちるんですけどね。プラ製品やアルミボトルは印刷後は自然乾燥です。

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実はアルミも60度〜80度ぐらいで加熱乾燥すると定着しやすくなりますよ♪

 

Q.今後は印刷部門として広げていきたいなど考えていますか?

本多:そうですね、今後は自社のロゴとかグッズとか作れたらと思っています。現場が手が空かなかったり、余裕がなかったりしている今は仕事でいただいてるものに限定していますが、版から自分たちで作れるので今後は自社のノベルティなどの制作ができたらいいなと考えています。

 

Q.使っている中で“楽しい”と思うことや“嬉しい”という感覚はありましたか?

木津なんでもくんを使って良かったと感じることは、本当に様々な方に驚かれることですね。施設利用を検討されている親御さんや福祉施設サービスに繋いでくださる機関の方が来られた際、まず皆さんが驚かれるのは、すべて自分たちでやっていることです。自らの手で印刷したものが商品として世の中に出ていくことは、作り上げているという感覚も増し、なんでもくんを導入したことで何かガラッと変わった気がします。

ラベルを貼ることも大切な仕事ですが、同じことを繰り返すだけではなく、自分たちの手で何かを作り出し、そのプロセスに取り組むことで意識が深まり、考え方の幅が広がる「きっかけ」になったと感じています。この経験は本当に貴重ですし、ありがたいと感じています。

 

Q.なんでもくんで「こういうのがあればいいのに!」ということはありますか?

木津パッドの種類ですかね。現行のものでもいろんなものができるようなパッドの種類にはなっていると思うんですけど、どうしても私たちが扱うものが「歪み」あったり、カーブがきついものが多いので、しっかりと押さないと印刷できないものが多いんですよね。ただ、押しすぎるとデザインの中央部分がボケてしまうことがあるので、もう少し多様な種類があると良いのかな?と思っています。

 

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パッドについては中が空洞になっている「中空パッド」や、お客さまがお使いのパッドでも中を空洞にすることができます。物によってはパッドもカスタムしていくことが可能です。治具の設置についても効果的な方法があるかもしれませんね。どんな些細なことでもぜひお気軽にご相談ください。

 

Q.なんでもくんを導入したことでコスト的に軽減できたというようなメリットはありますか?

本多ああもうそれは…完全にメリットしかないです。今まで送料に結構な負担がかかっていたので、製造時に容器が足りない場合は急いで送ってもらったりする調整が非常に手間取っていました。しかし、なんでもくんを導入することで、すべてを自社内で行えるようになり、生産計画が立てやすくなり、余計な送料もかからなくなりました。常に5%以内のロス率を維持するようなやり取りもなくなり、時間とコストの削減ができるようになりました。

また、版を自分たちで簡単に作れることも、様々な可能性が広がりました。版の作成や洗浄は主に木津が担当していますが、自分で作るからこそコツも掴んでくる。そうなったら次に活かせますよね。

先日も違う事業部でお揃いのコーヒーカップを置いたんですが、そのカップもなんでもくんを使ってロゴを印刷したものが並んでいたら利用者のみんなも嬉しいだろうなとか、そういった小ロットで簡単に何か作れそうだなっていうのは、とても魅力だと思っています。

 

Q.他の方になんでもくんをオススメしたいポイントやアイディアはありますか?

本多そうですね、自分でさまざまなクラフトに取り組んでいる方にとって、印刷を自分で行えるというのは本当に魅力的なことだと感じます。このコンパクトサイズのなんでもくんで完結して制作ができることは、多分、想像もつかないことだと思います。おすすめです。

当施設でも様々な方が見学に訪れ、印刷機を見て驚かれることがあります。「パッド印刷」と聞くと、大がかりな機械で難しい作業だと想像されるようで、本当に趣味でいろいろ作っている方には特におすすめです。これからもさまざまな使い方を広げていけたらと思っています。

 

Q.なんでもくんを導入し、“印刷”という事業が加わったことであおぞらソラシードさんにとっては「良かった」ということでしょうか?

本多:本当によかったです。仕事が増えたこともありますが、やっぱり皆さんが驚かれるのは、この化粧品を作るのに中身と充填作業だけでなく、発送作業もやっていると言うと驚かれ、ハーブも作っているというとまた驚かれます。そして最後に、実は容器も印刷していますとなると、「もう全部じゃないですか!」となるんですよね。そこがうちの商品の“ウリ”だなと思っています。障害のある方と一緒に、というところではすごいストーリーになるので、容器の話もでてくるとやはり付加価値が上がったように感じます。

障がい者施設で保護者の方にもうちのロゴが入っているものを持って帰ってもらったら、ご家族もすごく喜ぶだろうな、そうやってあおぞらソラシードのロゴの入ってる商品を関係者でも広げていけたら嬉しいな、と思います。

 

Q.あおぞらソラシードさんの商品はどちらで購入できるのでしょうか?

本多イベントで販売をしたり、自分たちのオンラインショップで細々と販売しています。また、デザイナーさんのお店で置いていただいたり、県外のセレクトショップさんなどでたまたま見つけていただいたりもしています。販売は今後も力を入れていきたいところです。

消臭・除菌効果のある「森のクレアミスト」シリーズ。

 

本多こちらのシリーズは、消臭スプレーです。使い方としては、衣服やソファー、空間に使っていただければと思います。オーガニックなファブリーズという説明をしたりするんですけど、使っている原料は天然素材のものを使用してまして、スギや甘夏のほか、ラベンダー、ローズマリー、レモングラスのハーブを農園チームが育て、収穫し、蒸留しています。そして製造チームが製造して、印刷などを行なっています。

 

虫除け効果のある、ハーブの精油を使ったボディミスト。

 

本多こちらは虫除けスプレーなんですけど、虫除け効果がある化粧品として販売しています。これは肌に直接つけることができます。

本多地域の温泉旅館さんとかでは、以前スギのシリーズを使っていただいたり置いてもらったこともあります。
成分の中の甘夏だけは愛媛から仕入れていまして、ジュースにした後の残渣*を水蒸気蒸留して、ウォーターと精油にしています。甘夏だけは新潟でなかなか作れないそうです。その他にドライシャンプーとUVスプレー、バームもあります。熊と森のおでかけミストと同じ精油を使用して、保湿効果もしっかりあり、赤ちゃんもお使いいただけます。

*残渣(ざんさ)=濾過をした後に残ったかすのこと。

 

 

本田さん、木津さん、素敵なお話をありがとうございました!
製造に関してもSDGsな取り組みをされているあおぞらソラシードさん。ストーリー性のある商品作りとかわいいパッケージはギフトはもちろん、ホテルなどの宿泊施設にぴったりの商品です!

 

あおぞらソラシード
楽しく働き、楽しく暮らそう。
自然豊かな新潟県阿賀野市の五頭山麓で、天然のアロマミストや植物由来のオーガニック化粧品の製造などに取り組んでいます。杉のおがくずを蒸留してつくる、リネンウォーターが看板商品です。その他にも、有名コスメブランドのOEMも行っています。
住所:〒959-1924 新潟県阿賀野市畑江75
WEB:https://aopoco.com/sorashi-do.html

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